「ミュージアム」 巴 亮介 著 コミック
最近、テレビで小栗旬主演映画「ミュージアム」の宣伝がよく目につき〜シリアルキラー物のサイコサスペンス〜で、漫画原作って言うのも少々気になってました。
先日行ったネットカフェの映像化作品コーナーで「ミュージアム」が並んでいるのに気づき早速読んでみることに。3巻完結の短い作品です。映画化にはちょうどいい長さかもですね。
大まかな内容は、主人公の刑事沢村とシリアルキラーのカエル男が対決するストーリーで、まぁよくある話です。これくらいの内容のストーリーなら、普通なら10巻くらいで完結させても納得できるはずです。それを思い切って3巻に凝縮させている潔さがいいですね。(コミックに読み切り短編が収録されていたりで、3巻完結には大人の事情があったのかもしれませんが・・・)
追い詰められた沢村が犯人を特定する場面などは、食堂で食物アレルギーの客のクレームを見て犯人像を思いつき、独自の捜査であっさり犯人を特定してしまうとか、もう少し詳細に丁寧に描いたほうがいいんじゃないの?と思うところもあるのですが、全体を通して饒舌にならずスピード感ある話の展開は好印象です。
雨の日に、雨合羽にカエルの仮面を被った「カエル男」が猟奇殺人を犯す。キャッチーなシチュエーションです。どんな猟奇さかというと
◯生きたままで飢えた犬3匹の餌にされ殺される。
◯生きたまま鼻や耳など体をパーツに切り取っていき殺害する。
◯体を縦半分に切り裂き、自宅と愛人に送りつける。
◯冷凍庫の中で氷づけにされる。
◯死体の口の中に大量の針を入れる。
この事件の捜査を沢村が担当することになる。捜査するうちに被害者の共通点が「幼女樹脂詰め殺人事件裁判」の関係者と判明する。沢村の妻がこの裁判の裁判員を務めていたことから、沢村自身が事件の当事者となってしまう。
妻子をすぐにでも保護したい沢村であったが、1週間前から家庭の事情で妻は子供を連れ家を出ており行方がわからない状況にあった。すでにこの時点で沢村はカエル男にターゲットとして監視されており、妻子も拉致されてしまう。
事件当事者として捜査から外された沢村は、情報を得るため後輩の刑事に接触したところにカエル男が現れ後輩刑事が殺害される。責任を問われた沢村は警察に拘束されるものの逃走をはかり行方をくらまし独断で捜査をすすめることになる。
って感じでストーリーが進んでいきます。
恐怖や気持ちの悪い描写が随所にあり、サスペンス感やホラー感の表現が優れている作品です。監禁された沢村が、食事に与えられるまずいハンバーガー。カエル男が調理する場面がなにげに描かれているのですが、血だらけの包丁やひき肉機などがこれ見よがしに置いてあり、カエル男が何らかの肉をひき肉に加工しているような想像が掻き立てられ気持ち悪さMAXです。
エンディングは、何かを考えさせられるような構成になっていますが、ハッピーエンドではないけれどそれほどのバッドエンドでも無く若干の肩透かし感は否めませんね。この内容なので最悪のバッドエンドでホラー感もMAXのほうが良かったように感じます。
サスペンスやホラー、気持ち悪さに拒否反応を示さない方にはおすすめできる面白い作品です。