わらじやの鰻雑炊

十数年ぶりに、うぞうすいの「わらじや」に行ってきました。

こういうお値段の張るお店は、当然のごとくお招ばれでなのですが・・・

場所は、国宝「三十三間堂」と国立京都博物館がある東山七条。博物館の少し西。七条通の北側。京阪七条駅から徒歩3分ほどの場所です。

昔ながらの風情あるたたずまい。中庭を囲んで数部屋の和室が1・2階にあります。最近では改装されてテーブルの席もできているようです。

うぞうすい わらじや

この「わらじや」は、豊臣秀吉が休憩したと言われる店で、400年に及ぶ歴史があるらしいのですが、京都にはそういった逸話を語るお店も多く、実際にこの地で400年近くお店を営まれているのかというとそのあたりは私には確認のしようがないことなのですが、昭和初期にはこの地でう雑炊の店を営業されているので老舗の料理店であることには間違いありません。

提供されているメニューは、うぞうすいのコースのみ。

う巻などのサイドメニューもありますが、こちらのお店に来ればうぞうすいのコースを必ず注文することになります。コース内容は、抹茶・先付け・うなべ・うぞうすい・デザート。

「うなべ」は、骨を抜いてぶつ切りにした鰻の白焼きと九条ねぎ、仙台板麩、春雨を鰻からとった出汁で炊いたもの。ここの一番の特徴が他では味わえないぶつ切りの鰻です。小ぶりのうなぎの骨を抜いて2センチほどのぶつ切りにして白焼きにしたもの。このような調理方法でうなぎを味わえるのは私の知る限りわらじやしかありません。

うぞうすい わらじや

九条ねぎは先の青い部分は使わず、白い太い部分のみ使われます。大ぶりの板麩は仙台産らしく春雨とともに鰻のスープを良く吸い込み、ふわっとしたお麩とツルッとした春雨の食感で美味しく鰻のスープを味わうことができます。ふわっと焼かれた白焼きのぶつ切り鰻は、脂の少ない香ばしく淡白な味わいです。

「うぞうすい」は、うなべの鰻と違い開いて白焼きにしたものが入ります。小さく切ったお餅が入っていますが、卵でとじられた一般的な雑炊です。若干大味な感じを受けました。

「うなべ」も「うぞうすい」も、平たい土鍋をアツアツに熱せられ、木枠に乗せられ運ばれてきます。土鍋はかなり分厚く重いもので保温性は抜群でちょっとやそっとではスープが冷めることはありません。ただ、雑炊に関しては熱々が保たれるのはいいのですが、煮詰まってしまって水分がなくなり2杯め以降は雑炊というよりおじやになってしまうのは私的にはいただけない感じを受けました。

ここでしか食べれらないぶつ切り鰻の「うなべ」が味わえるということで、一度食べに来る価値はありますし、お味も間違いはありません。ただ、鰻をガッツリ味わいたいと思って来店されるとかなり期待はずれになるかもしれません。はっきり言って鰻自身を味わう分量はほんの少量でしかありません。どちらかというと鰻のスープを味わう感じです。

純粋に鰻を味わいたいのなら一人前6700円出すのであれば、うな重をガッツリ食べるほうが満足感は高いでしょう。

「わらじや」は、「わらじや」独自の鰻の味わい方を守り続けるオンリーワンの老舗料理店なのです。