3月10日までのHontoポイント50倍対象で購入した若竹七海著の「悪いうさぎ」
葉村晶(はむらあきら)という女探偵が主人公のハードボイルドミステリーで、現在5作品が発表されている人気シリーズです。「悪いうさぎ」は2作目で初の長編となっています。私は長編を好んで読むので連作短編集の「依頼人は死んだ」をさけ、初の葉村晶シリーズを読むにあたって長編である「悪いうさぎ」を選んだわけです。
この「悪いうさぎ」が私の好みに合えば、ポイント50倍のうちにシリーズ全作を大人買いすべく14冊のなかからまず手を付けたのでした。
結果
を本日購入しました。
初若竹七海作品ですが、葉村晶シリーズなかなかいいですね。好みです。
内容紹介
少女たちはどこに消えたのか?
仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ、待望の長篇!
女探偵・葉村晶は、家出中の女子高生ミチルを連れ戻す仕事で怪我を負う。一か月後、行方不明のミチルの友人・美和探しを依頼される。調査を進めると、ほかにも姿を消した少女がいた。彼女たちはどこに消えたのか? 真相を追う晶は、何者かに監禁される。飢餓と暗闇が晶を追い詰める……。
『依頼人は死んだ』『さよならの手口』『静かな炎天』と連なる好評シリーズ。amazon より
フリーで探偵活動をしている葉村晶は、いつも仕事を回してもらい懇意にしている長谷川探偵調査所をとおして東都総合リサーチからの依頼で家出少女ミチルを連れ戻すという仕事を受ける。所在もわかっていて連れ戻すだけという簡単な仕事のはずだったが、同行した東都総合リサーチの社員世良の暴走からのトラブルで大怪我を負う。その時の対応が依頼人に気に入られ行方不明少女の捜索依頼が葉村晶指名ではいる。依頼人はミチルの父平義光とともに二八会という同好会に所属している滝沢で、娘の美和が10日以上帰宅していないと言う。調査を進めるうちに美和の友人のカナと呼ばれる少女も突然行方をくらましていて美和は独自にカナを探していたようであった。そんな中彼女たちの友人の柳瀬綾子が殺害される。
少女たちに何が起こったのか?調査を進める葉村晶は泥沼のような不運の連鎖に飲み込まれていく。
冒頭から刃物で刺され1ヶ月の入院。退院しても怪我の原因となった世良とその祖母から逆恨みされ嫌がらせを受け、さらに誰かわからない相手に拉致監禁され2日間廃棄トラックにとじこめられ暗闇恐怖症になる。あげくは狩の標的とされるべくマスクを被らされ山の中を逃げ惑うことに・・・常に怪我を負い足を引きずり駆け回わる葉村晶の姿は痛々しく世良の股間を蹴り上げるなど男勝りの行動力はまさにハードボイルドです。腕力ではない強さと思いやりのある優しさを備えたキャラクター葉村晶はなかなか魅力的な主人公といえます。
唯一の親友と呼べる友達が結婚詐欺に目をつけられ、恋に溺れ真実に目を向けられなくなった友人との諍いや結婚詐欺師との対峙など事件の本筋とは関係ないところからも晶を心労が襲い、これでもかと追い詰められていく晶の姿が痛々しくもユーモラスに描かれ、大家や事務所メンバー警察の知り合いなどとの気の利いた掛け合いも楽しめます。事件の関係者や結婚詐欺師の男や世良などどれもいびつに歪んだ登場人物ばかりで普通と言えるような人物はまずいません。なので起こる事件の真相は救いようのない気分のわるくなるものです。それでも誰かを救うべく毅然と立ち向かう葉村晶がかっこいいのです。