先週は、キングダムウィークになりました。
Amazon Prime Video でなにか面白そうなコンテンツはないかと探していたところ、アニメ「キングダム」を見つけ最近実写映画化されて話題の作品だったので見ることに・・・
これが運の尽きでした。シーズン1・シーズン2で80話ほどあるのですが、面白すぎて3日でイッキ見してしまい、続きが気になりとりあえずネットカフェでコミックを読むことにしました。アニメ版は、原作コミックの24巻までのエピソードで、コミックは54巻まで発売済みです。
ネットカフェに2日通って十数巻読み進んだのですが、そうそう毎日通ってられないのでTSUTAYAでレンタルして自宅で一気に読むことにしたのです。そして4月公開で3ヶ月たっていながらまだ公開されている映画まで行き着いたのです。
『週刊ヤングジャンプ』で2006年から連載が始まった原泰久原作のマンガで、古代中国の春秋戦国時代末期の秦の始皇帝となる秦王の政と武人となる信の中華統一に向けて活躍する物語で、「史記」に記された歴史をもとに構成された歴史フィクションマンガです。
時代は、紀元前245年。500年に渡る騒乱が続く春秋戦国時代。戦災孤児の「信(しん)」と「漂(ひょう)」は下僕(奴隷)として村の長の元で働きながらいつの日か天下の大将軍になることを夢見て二人で剣術の鍛錬に励んでいた。
秦国大臣の「昌文君(しょうぶんくん)」に見出された「漂」は「信」と別れ仕官することになり二人は別の道を歩むことになる。「信」はいつか「漂」に追いつくべく一人鍛錬を続けるのであった。
ある夜、深手を負った「漂」が「信」の住む小屋に帰ってくる。王宮で王の弟によるクデターが起こり追手に追われている言う。息も絶え絶えに「漂」が「お前に頼みたい事がある」と「信」に地図を手渡し「今すぐそこにいけ!」と言い残し息絶える。「漂」に地図を託された「信」は、「漂」の願いに従いかたきを討つことを心に決め剣を拾い示された場所に走り出す。
示された場所には小屋があり、中には「漂」そっくりの人物が一人いた。混乱し説明を求める「信」にその人物は今は時間がないようだと刀を取り小屋を飛び出す。「漂」を手に掛けた追手が「信」を追って来たのであった。その追手は「漂」そっくりの人物に対して秦王と呼び斬りかかる。それで「信」は「漂」が秦王の影武者にさせられ秦王の身代わりとして切られたことを悟るのであった。
実際に「漂」を手にかけた追撃者を仕留め取り敢えずの仇をとった「信」は、村が焼かれ軍隊に取り囲まれつつあることから「政」とともにこの状況を突破することにする。そこにミノを纏った「河了貂(かりょう てん)」と名乗る子供が現れる。金を出せば抜け道を案内するという「河了貂」に助けられて危機を脱する。
3人は生き残るため最後の希望である「政」の家臣「昌文君(しょうぶんくん)」との待ち合わせの場所に向かう。待ち合わせの場所は400年前の秦王が山の民と交流を深めた時の別荘地であった。その場所は今でも山の民に守られているという。「昌文君」の部隊となんとか合流はできたが、味方はこの場にいる者だけという絶望的な状況であた。
「昌文君」達から「漂」の決意と思いを知った「信」は「政」の剣として協力し大将軍になる夢を目指すことにする。
「政」は状況を打開して王の座を奪還するため400年間交流を閉ざしている山の民の協力を得るべく山の民の領地である山に入る。そして400年前の山の民に対する秦の仕打ちへの恨みを晴らすため現秦王の「政」の首を討つと主張する山の王「楊端和(よう たんわ)」を説き伏せ同盟関係を結ぶことに成功する。
山の民の協力で3千の軍で王都咸陽を目指す「政」であったが咸陽には「呂不韋(りょ ふい)」軍20万を迎え撃つべく集結した王都軍8万が駐留しておりまともにやり合っても勝ち目は全くない。そこで敵の弱みにつけ込む策で攻める計画を立て咸陽に入るのであった。
作戦は、戦闘力に優れる山の民の軍が同盟のため山を降り咸陽に現れると言うもの。「呂不韋」軍20万に対して王都軍8万と戦力に劣る王都軍には渡りに船の状況を作り、同盟調印の場の王宮に精鋭が潜り込み一気に首謀者の「竭氏(けつし)」を討つというものである。
「信」の活躍により「竭氏」の首を打った「政」は大将軍「王騎(おう き)」の支援もありなんとか王座奪還に成功する。これが「政」と「信」の偉業へ続く険しい道の出発点となるのであった。
ストーリーは概ね原作に忠実な構成です。ただ、2時間程度の時間内にまとめなくてはならないので削られたエピソードも多く辻妻を合わせるための設定変更も当然あり、原作を知っていると違和感を覚える部分もあったりします。
例えば特に気になったのが「河了貂(かりょう てん)」の設定です。原作では、自分の先祖は山の民であったことは亡き祖父から聞かされ知っているものの本人は平地で育った記憶しかない10歳に満たない天涯孤独の少年(少女)であるが、映画では山の民の言語を理解し通訳まで務めている。年齢も不詳ではあるが、キャストが橋本環奈でもあり10歳にも満たない少年とは言えず4〜5歳上の設定と思われます。
でも原作者が脚本を手掛けているということもあり、映画版のストーリーと理解できていればスムーズな展開で特に問題はないでしょう。
キャストも概ね原作のキャラクターにうまく寄せられていてそれほど違和感を抱くことなく作品を鑑賞することができました。大沢たかおの「王騎(おう き)」将軍など想像を超える出来栄でこれ以上はないと言う感じです。長澤まさみの「楊端和(よう たんわ)」もかなりいいですよ。
キングダムの実写映画化を知った時は、どうせなんちゃってな作品でコケるだろうと思っていて当然映画館で観るなんてことは全く考えてもいませんでした。ところが4月に公開が始まると結構評価が高く作品としてもヒットしている様子。
そして先週、アニメ・原作と「キングダム」にハマってしまいその勢いで映画にも興味が湧いたのです。普通なら公開後三ヶ月も経つと上映している映画館なんてないと思っていたのですが、そういえば「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」を観に行った時に「キングダム」も上映されていたなぁと気付いたのでした。
で、なんとか映画館で「キングダム」を観ることができたわけです。で・・・
率直な感想は「面白かった」ではありますが、わざわざ映画館に出向い観るほどでもないと言ったところです。漫画原作の実写映画化作品としてはよくできている作品であると思います。でもレンタルでいいかなって感じです。
やっぱり邦画の限界というかスケール感が小さすぎる。おそらく日本の戦国時代が舞台の作品であれば上出来と評価できるでしょうが、中国の戦乱の世が舞台なのです。咸陽の王宮の引きの描写はなかなか壮大でオッと思わせてくれるのですが、最後の王宮での戦闘場面の舞台は日本のお城レベル。あまりにもスケール感がなさ過ぎです。引きで見た王宮の現場がそんな狭い空間なはずがないだろーと突っ込みを入れたくなるレベルです。
特殊効果でキングダムの戦闘場面の熱い盛り上がり感は頑張って表現されていてよかったのですが・・・
実際、限りある予算の中で精一杯知恵を絞り頑張って作り上げた作品であることは理解でき、原作ファンとしてはそれなりに楽しめる作品に出来上がっているのは間違いありません。なのでその点が評価されヒット作品となっているのでしょう。
「キングダム」がヒットしたので続編はもっと予算が付くでしょうから次作はどんな感じの仕上がりになるのか若干楽しみであったりもします。
アニメは、原作の24巻までのエピソードが描かれています。原作が54巻まで進んでいるので、早くシーズン3が制作されることを期待します。
アニメだと声が乗り動きが加わることでキャラクターの個性が引き立てられます。特に戦闘シーンにはマンガにない迫力が加わり映像でその場面の緊迫感やキャラクター達の心情を垣間見れることでマンガとは違った見え方が楽しめます。
「河了貂(かりょう てん)」や「羌瘣(きょう かい)」の可愛さには倍増ですし、「王騎(おう き)」将軍の迫力や威容(異様)さもアニメならではです。
ストーリーは、ほぼ原作通りですが、「羌瘣」の扱いだけは疑問に思うところです。「羌瘣」が刺客として「呂不韋(りょふい)」の参謀である「昌平君(しょうへいくん)」に雇われ「政」の首を取りに王宮に忍びこむエピソードがカットされそれに伴って「河了貂」が軍師となるべく「羌瘣」の紹介で「昌平君」に弟子入りするという流れも違ったものになっていたりします。
この辺りのエピソードは、「河了貂」や(特に)「羌瘣」の立ち位置の背景に関わるものでもありあえてカットする事の意味がよく分からなかったりするのです。
原作はスタートから13年で中盤と言う事なので後10年は続き最終的には100巻を越す大作になるでしょう。「史記」の史実と言う屋台骨がありそれを元に物語が進んでいるのでストーリー崩壊を起こすような事なく「始皇帝」の誕生まで着実に描ききられる作品であると信じて今後の展開を愉しみたいと思っています。
アニメ「キングダム」シーズン1・シーズン2は、Amazon Prime Video で配信されています。amazonpreime会員なら全編無料です。