2020年7月現在、シリーズ7作品が発表されています。タイトルは以下のとおりです。
警視庁捜査第一課科学捜査係文書解読班の活躍を描いた警察小説。科学捜査係の係長である財津警部が新設した部署でこの部署を仕切るのが班長の鳴海理沙(なるみ りさ)警部補。その補佐につく矢代朋彦(やしろ ともひこ)巡査部長と二人きりの部署です。
凶悪事件の時効廃止にともない、捜査一課ではここの未解決事件の継続捜査を進める体制を整え始めた。その一環として文書解読班とういうセクションを設け、過去の捜査資料を整理、分類する事になったのである。文書管理班とならなかったのは、いずれ現場に出て脅迫状や遺留品などの文書解読で捜査に協力するというのが将来的な目標とされている。
大学で学んだ「文章心理学」を応用して、事件捜査にアプローチするという手法を取り入れている文書解読のエキスパート。文章や文字が大好きで文字フェチを自称している。学生時代のトラウマからの女性恐怖症でテキパキとしてはっきり物を言うような女性とはうまく会話することが出来ない。警察官であった祖父の強いすすめで警察官という職を選ぶことになった。整った顔立ちは芸能人と見紛うほどの美人。
鳴海警部補の唯一の部下。刑事として捜査一課入りを熱望していたところその望みがかない捜査一課の配属となったが、文書解読班であると知り落胆している。所轄の刑事時代には、何度も繰り返し聞き込みを続けることから「お遍路さん」呼ばれるほどの粘り強い捜査を心情としている。先輩である捜査一課四係の川奈辺警部補からは「倉庫番」と親しみを込めて?呼ばれている。
初めての臨場は、右手を切断された殺人事件であった。その現場で見つかった証拠品である
の分析を依頼されるのだが、事件担当の古賀係長からは聞き込みなどの捜査はこちらですべて行うので証拠品の分析だけに集中するようにと釘を差される。
しかし、文書解読班の二人はめげることなく文書をきっかけにして現場の謎を解くのも私達の役目と、独自の捜査を始めるのであった。
シリーズが進むに連れ文書解読班のメンバーも充実していきます。永久囚人では、体育会系の夏目静香巡査が配属となり、灰の轍では、科学捜査係でIT担当の谷崎廉太郎巡査が文書解読班のパソコン分析に協力することとなり、その後も何かと担ぎ出されることとなるのです。理沙の卓越した文書解読とメンバーのチームプレイによって順調に成果を上げ文書解読班としての実力を発揮できるようになり、捜査一課の古賀や川奈辺らは協力的な立場をとってくれるようになったものの、上司である財津警部と敵対する岩下管理官には目をつけられ上層部の派閥争いに巻き込まれていくことになります。
文書解読班の名の通り、捜査に関わるきっかけは証拠に残されたメモなどの書類であったり、ダイイングメッセージや暗号など多岐にわたります。自費出版の書籍の謎など趣向を凝らしたエピソードなどもあります。愚者の檻では、岩下管理官が矢代にたいして捜査一課入を提示して、文書解読班の切り崩しを図ったりと警察派閥の駆け引きなどのエピソードも絡めきな臭い警察小説らしい体にもなってきました。
魅力的な登場人物が多く楽しめるシリーズで、今後の展開も気になる作品です。
2018年4月19日から6月7日までテレビ朝日系「木曜ドラマ」枠で放送されました。主演は、鳴海理沙役で鈴木京香・矢代朋役で波留のダブル主演。ドラマでは矢代は女性になっています。
ストーリーは、登場人物などの設定はなぞっているもののタイトル通り未解決事件を扱うオリジナルストーリになっています。なので小説とは全く別物としてたのしむのがいいでしょう。
「ドラマSP 未解決の女 警視庁文書捜査官 緋色のシグナル」はAmazon Prime Videoで視聴できます。