Key作品は、「リトルバスターズ」「Rewrite」「Angel Beats!」などをアニメで見ていただけで、ゲームとして遊ぶのはSwitch版が発売された「Summer Pockets」が初めてになります。泣きゲーの名作として評価されるKey作品ではありますが何分古い機種での作品なものでどうにも手が出しにくかったのです。
「CLANNAD」もSwitch版がもうすぐ発売のようなので、今後Switch版で遊ぶ機会があるかもしれませんね。
大きな挫折を味わい投げやりになっていた主人公の鷹原羽依里(たかはらはいり)は、夏休みに母の妹・叔母の鏡子からの誘いで祖母の遺品整理のため家族から逃げるように鳥白島を訪れる。
そこで、不思議な少女たちに出会い終わらない夏を過ごすことになる。
|
肉親は祖父の小鳩だけで、自分から人を遠ざけ島では孤立している少女。泳げないのに夜中に小学校のプールで一人泳ぎの練習をしているところを羽依里にみつかる。島の外れで一人海を眺めたり釣りをしたりしていることが多く、楽しい夏休みを過ごしたことがない。
島の色んな所で眠っている姿を見かける少女。野生のキツネ・イナリを連れている。道端の木によりかかりイナリと一緒に寝ている姿を見つけた羽依里は不用心だと声を掛ける。島の駄菓子屋でバイトをしていて島の人達に慕われている。なぜか耳年増で常にエロに結びつける癖がある。
いつでも大きなスーツケースを引いて歩いている島で出会った不思議な少女。羽依里と同じく夏休みを利用して鳥白島に滞在している。古ぼけた地図を手に海賊船の在り処を探しているという。羽依里は夏の間、鴎のお宝探しを手伝うことになる。
夏休みを利用して「自分」と「やりたい事」を探しているという、素直で真面目なハーフの少女。羽依里が島の灯台を訪れた時に海に流れ着いたゴミを掃除している紬と出会う。困ったときなどに「むぎゅ」と呻き、嬉しいときには異国の歌を口ずさむのが癖。羽依里は紬の「やりたい事探し」を手伝うことにする。
水織静久 生徒会長 おっぱいに対する 強い思い入れを持つ | 野村美希 島に住む同年代の少女 強力な水鉄砲を持ち 島の治安にあたる | 三木良一 島に住む同年代の少年 すぐに裸になる | 加納天膳 島に住む同年代の少年 卓球にすべてを 捧げている |
岬鏡子 羽依里の叔母 蔵の整理を 羽依里に依頼 | うみ 羽依里のはとこ 夏の間加藤家で 同居することになる | 鳴瀬小鳩 しろはの祖父 頑固で不器用な 屈強な漁師 | イナリ 野生のキツネ 蒼の相棒 |
まずは、しろは・蒼・鴎・紬の四人の少女それぞれと夏休みを存分に楽しみ恋人となる物語を進める。オープニングが済むと島の地図に表示されるアイコンを選択してその日の行動を決めていくことになるのだが、その選択を目当ての少女を選び続ければその少女のルートに入っていくのでややこしい分岐はない。
4人のルートを終えると、いよいよこの世界の秘密が明かされるルートに入っていくがあとは一本道なのでほぼ読み進めるだけとなる。
4人のルートを進める過程で、天膳との卓球勝負と島モンカードを集めるミニゲームを遊ぶことができる。遊ばなくてもストーリー進行には全く影響しないが、PS4でいうトロフィー的な要素をコンプリートしたいなら遊ばなければならない。
システム的には、早送り・巻き戻し・既読スキップなどほぼ自由自在にできるのでかなり遊びやすくなっている。とくに巻き戻しはたいがいのソフトではテキストをさかのぼって読むことしかできないが、巻き戻しにより本編をそのまま再プレイできるのであやまって早送りやスキップしてしまっても巻き戻せばいいので大変ありがたい機能ですね。
以降、ねたばれ注意
ノベルアドベンチャーは好きでそこそこ遊んでいるのですが、恋愛要素の強い作品は苦手意識があり、あまり遊んではいないのです。この作品も恋愛要素はそこそこあるのですが、いろんな夏休みがあったというエピソードとして少女たちと深く関わり恋をするというだけでなくそれぞれのエピソードにこの世界の秘密に関わる重要な伏線が示されます。
それに 全てのエピソードがうまくまとめ上げられていてハズレエピソードはありません。キャラクターも個性的ではありますが、みんな良い子で一途なのです。なので驚愕するようなインパクトのある物語ではありませんが、優しさと切なさとちょっと感動の物語が展開されます。
はじめは4人の少女を一夏で各個撃破していく話かと思わせられながら、実は囚われた夏休みを何度も何度も繰り返すその中の4つのエピソードでしかなかったことを知ります。そう永遠に続く楽しい夏休みです。なんか涼宮ハルヒの繰り返す夏休みのエピソードを思い出しました。
全てのエピソードに幻のように現れる虹色に輝く蝶が関係していて、それは鳥白島の重大な秘密に関わる事で不思議な物語の因果の象徴となっています。
この作品の上手いところは、多くを語っていないところです。普通に読み流しているとエンディングを迎えても???となる腑に落ちない部分が多々あります。でもよく読み込むと端々にヒントとなるような会話や表現が残されていてそれを元に想像力を膨らませ理解していく楽しさがあるのです。所謂考察ですね。
自分では読み解けなかった部分もいろんな方が考察サイトで検証をされているので参考にして自分なりの納得いく解釈をしていくのも楽しいものです。
例えば、鏡子さんはどういった存在でどういった役割を果たしていたのか?本編では全くと言って良いほど語られることがありません。でも、言動や行動は全てを知った上で起こっている事象を傍観しているような感じで描かれます。
しろはの母で失踪した瞳・うみ・七海しかり、七影蝶・迷い橘・影帽子などなど同じような感じです。
ここで自分なりの考察を語るつもりはありませんが、そういう楽しみ方も含めて上質な仕上がりのアドベンチャーゲームであると言える作品です。
なんといっても、みんなビジュアルが可愛くて性格設定などもピッタリで嫌いになるようないやな登場人物や敵対するようなキャラクターもいない。特殊な能力と運命に翻弄れる登場人物達の物語を温かい気持ちを持って読み進められるちょっと切ない夏の物語。なかなかいい感じです。