60時間ほどでエンディングを迎えることができました。小島秀夫監督の最新作品とう言うことで遊ばないという選択はないのですが、発売当初の評価でお使いゲーとか期待はずれだとかネガティブな意見が多く見られちょっと大丈夫か?と遊ぶ前は不安に感じたりもしていたのですが・・・
遊び始めて、そんな評価が的はずれであったと実感させられました。今までにないゲーム感・斬新で複雑なストーリー・素晴らしい映像美などなどこの作品を生み出せる小島監督のそこの見えない才能に驚かされています。
個人的な感想としては、前作の「METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN 」よりも楽しむことができました。映像やストーリーなど総合的に判断して小島監督作品の中でも最高の仕上がりと言ってもいいでしょうね。
世界観はこの作品の根幹に関わるところです。よくこんな世界観を思いつくなぁと感心させられます。それをゲームに昇華させる小島秀夫、本物の天才ですね。
肉体と魂。この世とあの世。それらを繋ぐ三途の川。へその緒によるつながり。死者は焼いて弔わないと災いをもたらす世界。現世に彷徨う魂。こう書くとまさに日本的な世界観がベースになっていることがよく分かると思います。それをハー(肉体)とかカー(魂)・ビーチ・ネクローシス・BTなどと表現し、カイラル通信網とかいかにも科学的な表現をしていますが実際はビーチというあの世とこの世の境にある場所をつないで通信するまさに霊界通信ってことになります。それを支えているのが、生まれて間もないへその緒がつながった赤ん坊なのです。へその緒(臍帯)こそが現世(うつしよ)と常世(とこよ)を繋ぐ要となっているのです。
一見SF的世界観で構成されているように思わされますが、実際は極めて哲学的(あえて言うなら宗教的)な世界観で成り立っているゲームなのです。
舞台は、北米(アメリカ)大陸。デス・ストランディングと言われる謎の大爆発によりマンハッタンが消失し多くの死者が出て、その後BTと呼ばれる目に見えない驚異と時雨(ときう)と呼ばれる謎の雨の発現によって大地は荒廃し都市は分断され、生存者たちは街に籠もり時々訪れる配達人が届けてくれる物資を頼りにほそぼそと生活している状況にある。
そんな中にあって、都市間の通信網を再構築し連携を図ることでアメリカ再建を目指す人達がいた。現大統領(ブリジット)を中心に構成されたブリッジズと呼ばれるグループである。手始めにブリジットの娘アメリを中心に第一次遠征隊を組織し都市を繋ぐカイラル通信網を再編成するための通信機構を主な都市に配置すべく西に向かうことになった。
しかし、アメリカ分断を企むテロリスト・ヒッグスにより遠征隊は全滅、アメリは捕らえられ西の都市に幽閉されてしまう。そこで白羽の矢が立ったのがブリジットに育てられ子供の頃からアメリを慕っているサムであった。サムはある事情からブリッジズとの関係を絶ち一人で配達人として都市に物資を届けていた。
ある時ボイドアウトと呼ばれる大爆発に巻き込まれ、倒れていたところをブリッジズに助けられその時手錠型端末を装着されてしまう。そこでアメリ救出とそのために必要なカイラル通信網の接続を依頼されるのであった。アメリカの再建には全く興味のないサムであったが愛するアメリの救出については受けざるを得ず不本意ながらもカイラル通信網を大陸の西端まで接続することになる。
という感じでサムの配達人としてのアメリカ大陸横断の旅が始まるのであった。
荒廃したアメリカの大地は、道路もなく大自然そのものです。ただし、都市内では住民はBTや時雨を恐れこもってほとんど外に出ることはないもの生活基盤はそこそこ整っていて発達した科学を思わせる設備が充実していたりします。
サムは拠点となる都市から近い順に訪れカイラル通信網を繋いで行く必要があるのですが、都市の代表は必ずしも協力的ではなく、信頼を得ないと接続に協力してもらえないことも少なくありません。そのためにその都市が必要とする物資を配達することで信頼を得る必要があるのです。また、配達した都市の代表から別の配達依頼を受けこなすことも信頼を得るためには必要です。
それにただ届けるだけではだめで、落として壊したり、時雨による劣化に注意しできるだけ完全な状態で届ける必要があります。はじめのうちは装備も貧弱で持てる荷物の量も限られ、急斜面では滑り落ちたり、石につまずいてコケたり、川で流されたり、BTやミュールに遭遇したりと一筋縄ではいきません。足場の悪い地形を梯子やロープを駆使して運びきらないといけないのです。
不自由極まりない配送業務をいかにうまくこなすかがこのゲームのポイントに成ります。オープンワールドなので配送ルートは無限に選べます。いかに安全なルートを選択するのか、限りある積載力でどんな装備を持って出るのかが、頭のひねりどころなのです。
ゲームが進むと、素材を集め活用することで様々な建設物を作ることができるようになります。道路修復・コンテナ・発電所・時雨避難所・橋など、他にも武器や装備類も設計図をもらうことで作れるようになっていきます。
はっきり言って、謎の多い簡単には理解できない複雑な世界観とストーリーです。例えば、死体を48時間以内に焼却しないと都市が消失するような大爆発が起こる、時雨と呼ばれる雨が降るとBTと呼ばれる普通では見えない幽霊のようなものが襲ってくる、赤ちゃん(BB)を容器に入れてBTを見極める装置として持ち歩く、ブリジット・アメリ・サムの関係性、ビーチやネクローシス・DOOMS・帰還者・カイラリュウムなどなどよくわからない設定。
はじめのうちは、この世界観に理解が追いつかず全くついていません。ただ、ひたすら依頼された配達をいかにうまくこなすかに夢中になっています。物語が進むに連れ徐々にストーリーに秘められた謎の存在が浮き彫りになってきます。ブリジットやダイハードマンはなぜ仮面をつけているのか?とかサムがBBとつながるときに見る幻覚は何なのか?とかそもそもBBってなんなのか?などなど霧のない疑問を抱えながらプレイすることになります。
その謎の解明に対するヒントのようなものが配達をこなすことで少しずつ明らかになっていく、お使いという単調になりがちなゲーム性に理解の追いつかないストーリーと世界観がバランスよくマッチさせられていて絶妙のゲームバランスに仕上げられているのです。これによって最後まで飽きることの無い集中したゲームプレイを楽しむことができるのでしょう。
エンディングを迎えるときには、ほとんどの謎が明らかにされるのですが、一度観ただけでは私自身デス・ストランディングの世界観とストーリーをどれほど理解できたかは疑問です。なんとなくそういうことなのね?程度の理解でしょう。
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