「デスストランディング(DEATH STRANDING)」「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」と、年末年始の2ヶ月あまりを費やしてRPGの大作を続けて遊んでいたので、新しいゲームに手を付けられませんでした。幸い、大きく興味を惹かれる新作がほとんどなかったのでこの2作品を十分に堪能することができたのです。
「十三機兵防衛圏」については、11月28日の発売前から注目していてAmazonでの評価も結構高いので「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」の次に遊ぶゲームに決めていたのです。
ノベルアドベンチャーとタワーディフェンスのシミュレーションゲームが一体となったSFアドベンチャーゲームです。似たパターンのアドベンチャーゲームとしては「うたわれるもの」シリーズがあげられるでしょう。アドベンチャーパートでは、ザッピングシステムの「428」や「シュタインズゲート」が近いです。
追想編・崩壊編・究明編にわかれていて、追想編がアドベンチャーパートで13人の主人公視点でストーリーを追っていきます。崩壊編がバトルパートで攻めてくる敵から自陣を守るタワーディフェンスシミュレーションゲームになります。究明編はアーカイブパートで、追想編で明らかになった内容を再確認することができます。
一つの物語を13人それぞれの視点でストーリーを追っていきます。誰のストーリーを追うのかはプレイヤーの自由で好みのキャラクターから攻略していけばいいです。ただ、ある程度進むとクリア制限がかかるシステムで崩壊編のあるパートまでのクリアやキャラクターのあるストーリのクリアなどの条件が付けられます。
追想編にはストーリーに応じた舞台(教室・繁華街・保健室など)があり舞台内を横スクロールで移動し登場人物に話しかけたり、調査をしたりして進めていくことになります。
はじめに「428」や「シュタインズゲート」が近いと書きましたが、ストーリーは一本道で、バッドエンドなどがあるマルチエンディングではありません。
チュートリアルのバトルを終えると、一つのエルアで10バトル✕3エリアの合計30バトルを進めていくことになります。バトルはクリアしないと次のバトルには進むことができません。バトルをクリア・Sランククリア・戦闘条件クリアで究明編のファイルが開放され読めるようになります。また、バトルをクリアするとミステリーポイントがもらえポイントを使って未開封のミステリーファイルを開封して読めるようになります。
バトルを進めることによってバトルポイントが増えていき、そのポイントを使ってキャラクターの装備を強化します。はじめのうちはそれほど歯ごたえのない戦闘で適当でもSランクでクリアできますが、ステージが進むにつて敵も強くなり適切にキャラクターの装備強化をしないとクリアが難しくなっていくのです。
いわゆるアーカイブで、クリアしたストーリーに応じて確認できるファイルが増えていき読み返すことで物語の理解が深まります。追想編のストーリーを進めるだけでは全てのファイルを確認することはできません。崩壊編のバトルでミステリーポイントを稼ぎ未開封のファイルを開封していかなければならないのです。
複数の時代(1945年〜2188年に渡る5つの年代)で繰り広げられる13人の主人公によるSF青春群像劇です。主要な舞台は1985年で、崩壊編で主人公たちが怪獣と戦っているのはこの時代の街を守る戦いなのです。
ネタバレになるとこのゲームを遊ぶ楽しさが台無しになってしまうので詳しくは掛けませんが、複数の時代に渡る怪獣との戦いでそれぞれの時代の街が破壊され人類滅亡の危機を迎えていて、最後の希望が1985年での戦いに勝利することなのです。
主人公が13人もいるので、それぞれに独自の視点のストーリーが有りさらにそれらが絡み合い13人以外の重要キャラクターもいて、かなり複雑な展開となっています。
ストーリー序盤は、多くの謎が提示されていき全く物語の展開が読めない状況ながら謎が謎を呼び続きが気になり次第に引き込まれていくのです。中盤には登場人物が出揃い複雑な関係性が明らかになっていくのですが、いろんなグループの対立の構図や個人的な好き嫌い(恋愛や友情を含む)の関わりが複雑にからみあいさらに引き込まれていきます。終盤には伏線や謎が一気に明かされ、その全貌を知るに至ります。
13人もの主人公が登場して、どのキャラクターもおざなりにされること無く個性豊かにきっちりと描かれていることには驚かされます。序盤から中盤に掛けてはキャラクター同士で対立したり疑心暗鬼になったりといった展開が見られるものの最終的には全キャラクターがそれぞれに最適を求めて行動をしており悪人と言えるようなキャラクターがおらずみんな好感の持てる設定になっているのもいいです。
13人の複雑になりそうな絡みあいも、ストーリーを進める上で理解に苦しむようなことはほとんどなく不思議と違和感なく楽しめ、そのあたりの制作の作り込みとこだわりの凄さにも感心させらました。
素朴な水彩画タッチのキャラクターデザインや舞台設定の美しいデザインも世界観に引き込まれる重要な要因と言えるでしょう。この「十三機兵防衛圏」は、秀逸なストーリーと練られた舞台設定でノベルアドベンチャーゲームに新たな境地を見せてくれた作品であると言って過言ではないでしょう。