PlayStation VR シネマティックモード

「PlayStation VR」には、 – シネマティックモード – と言う表示機能があります。この週末は、このあたりをいろいろと試してみたので、今回はそのへんの使い勝手についてふれてみたいと思います。

「シネマティックモード」とは、どんな機能なのかといいますと・・・
VR空間の中に、大画面ディスプレイが表示され、そこに表示される映像を楽しむ機能。わかりやすく言うと、映画館というVR空間で映画を鑑賞するというイメージです。ただ、映画館と言うほど大きくないので、どちらかと言うと、自分専用のAVルームで200インチ程の大きさのディスプレイの映像をかぶりつきで鑑賞する感じでしょうか。(大(large)表示の場合)

「シネマティックモード」では、3段階のスクリーンサイズが選べます。スクリーンのサイズは、2.5メートルの距離から

  • Small:視野角54度。117インチのモニター相当
  • Medium:視野角71.5度。163インチのモニター相当
  • Large:視野角90度。226インチのモニター相当

となっています。

MとLのスクリーンは、固定表示で映画館で見ている雰囲気で、自分が横になってもスクリーンは固定されたままです。右横を向けばスクリーンは固定されているので右側の黒い部分が見えるようになります。まさに映画館で首を振って見える見え方そのままです。

Sのスクリーンは、ヘッドマウントディスプレイと連動して動きます。横になればスクリーンも横になります。横を向いてもスクリーンは常に中心に正対して表示されます。

どちらが見やすいかというと、テレビを横になって見るときに見慣れた固定表示のほうが個人的にはいつもの見え方で見やすいですね。サイズは、Mがちょうどいい感じです。Lだと迫力はありますがかぶりつきすぎな感じで首を横に振らないと端の方まで視界が捉えられない感じです。

〜テレビを観る〜

ちょうどゴルフの日本オープンの中継が放送されていたのでチャンネルを合わせてみました。松山の顔がアップで表示されたときはちょっとおっ!となりました。160インチのディスプレイをかぶりつきで見ている状態なので流石に迫力があります。それに、まわりのひかりが写り込まないので映像にはむらがなく、有機LEのディスプレイのせいなのか発色が温かい色合いです。芝や林の緑が色深くひやけた肌の色合いもいい感じです。

選手のスウィングホームなど注意して見ていると、スロー再生されるときなど大画面で見えるので結構細かいところまでチェックして確認することができます。音もステレオイヤフォンで視覚も聴覚も観戦に集中できるので、スポーツなどのライブを楽しむにはいいデバイスではないかと感じました。PSVRでテレビ番組を観るためには、「nasne」とアプリの「torne」が必要です。

〜録画のアニメと映画を観る〜

nasneに録画されていたアニメ「精霊の守り人」と「響けユーフォニアム」と映画「ダイハード ラスト・デイ」を試してみました。アニメは両作品ともしっかりした描写の良い作品なので、大画面で楽しめるのはいいですね。「精霊の守り人」のオープニングで鷹だか鳶だかの鳥が大空を舞っている映像はかなりの迫力で、「響けユーフォニアム」は、背景や表情などかなり詳細に描き込まれていることが大きな画面で見るとよく分かります。久美子や麗奈がクローズアップされる場面などははっ!とさせられます。アニメでは特に描き込みの差がはっきりと現れるように感じます。大画面のかぶりつきは、映画館で大画面を遠くで観るより迫力があるのでは?と感じました。(個人的にはアニメは映画館で見なくてもいいかなーなどと思っていたりするので、PSVRでその思いが強くなりそうです。)

「ダイハード ラスト・デイ」も普通のディスプレイで観るよりも迫力があり集中して鑑賞できるのがいいです。ただ、2時間近い鑑賞時間は後半には目の疲れを感じてくるのとヘッドセットがずれるのかピントがぼやけたり、眼鏡の曇りを感じたり、いつの間にかVRスクリーンが大きくずれて表示されていてOPSIONキーで修正したりと少なからず不都合というかヘッドセットの修正が必要な場面が有りました。ヘッドセットはそれほど重たく感じることはないのですが、汗ばむなどの不快感を感じることも少なくなく、長時間に及ぶ鑑賞ではヘッドセットをはずすなどして適度な休憩をはさみながら鑑賞するのがいいように思いました。

作品によって向き不向きがあるのかもしれませんが、海外のドラマCDやアニメ作品など上質な作品をじっくり鑑賞するにはうってつけではないでしょうか。解像度的に映像美を鑑賞するのは難しいでしょうが、迫力ある映像を楽しむにはいい感じですよ。

〜ゲームをプレイする〜

「ペルソナ5」とPSplusでフリープレイの「よるのないくに」と「GRAVITY DAZE」を少しプレイしてみました。まずは「よるのないくに」。このゲームは、アクションRPGと言ったジャンルで主人公がフィールドを動き回り敵と遭遇するとそのままフリーで戦闘するスタイルのゲームです。主人公が移動するに連れ画面が流れるのでVRゲームではないのに若干体が流れる感じを受けます。VRのレースゲームなどをプレイしている時に近い感覚です。迫力のあるゲームプレイが体験できるのですが、反面ぐるぐる回ったりすると若干ながらVR酔いのような感覚になります。「GRAVITY DAZE」は、重力を操る設定なので上向き下向き自由にぐるぐる移動できるので感覚がおかしくなりより強く酔を感じます。スピード感とターンを伴う移動が重なるとシネマティックモードでのプレイでもVR酔いが起こることを体感しました。

「ペルソナ5」は、ダンジョンでの移動が気になりましたが、急なターンを伴うような動作はほとんどないためシネマティックモードでも快適にプレイできました。シネマティックモードでのプレイは視覚聴覚ともに集中できてより没入感のあるプレイを楽しめます。ただ、やはり目への負担は大きく長時間のプレイには無理があり、現時点ではPSVRで通しでプレイするのは難しいでしょう。

psvr

ps4

PSVRのシネマティックモード。なかなかの使い勝手です。
単に解像度だけで言えばHDや4Kなどにはとうてい勝てませんが、160〜200インチ級のスクリーンで映像鑑賞できる設備が手軽に手に入ると考えれば十分納得です。

200インチのディスプレイを設置するのにどれだけの広さの部屋と予算がかかるのか。解像度は低くても没入感とかぶりつき感の迫力の映像体験がそういったことを含めて納得させてくれます。

ただこれは、4Kとか高解像度の映像視聴設備を持っていない者の感想であり、すでにクリアな高解像度の映像を楽しんでいる方にとっては全く物足りない不必要なものかもしれませんが。

数日使用して、ヘッドマウントディスプレイの装着にも慣れてきて一番ピントの合う心地よいポジションがわかってきました。ピントが合いにくいと感じている場合、目の位置の調整を手動で設定したほうがいいかもしれません。右目と左目の瞳の中心の距離を測って設定するのですが、初めの設定でカメラで自動で測っているのでずれていることがあるようで、私も再設定して良くなりました。これによって目の疲れも若干改善されたように感じています。

とはいえ、夢のVR三昧はちょっとできそうにありませんね。休み休みでも、長時間の使用には無理があること、ゲームは体験版ばかりでゲーム内容を楽しむに値する作品が揃うにはしばらく時間がかかること、などなど・・・

まだまだ、いろんな課題がある「PlayStationVR」ではありますが、動作不良や大きなバグもなく、最先端のVR技術を体感できたことには十分に満足の行くものであったといえるでしょう。

それに、VRコンテンツがまだ十分に揃わない現状ではありますが、個人的な感想としては「シネマティックモード」で既存の映像作品やテレビを楽しめることは、それだけで十分に価値ある製品と評価できるものです。

30インチ程度のディスプレイを使っている現状が、5万円足らずの負担で100インチオーバーの映像体験を手に入れられるのですから。