「バチカン奇跡調査官」

「バチカン奇跡調査官」がアニメ化されましたね。

愛読書のアニメ化なので当然チェックしていますが、ちょっと不満な点がなきにしもあらず・・・

全体的な画面のトーンが暗すぎです。
物語がホラー的な展開なので雰囲気を出すためには仕方がないのかもしれませんが、もう少しメリハリを付けてもらいたい感じです。

以前に「月を呑む氷狼」の紹介の時「バチカン奇跡調査官」についての紹介もしたのですが改めて簡潔に紹介し直してみることにしました。

バチカン奇跡調査官

藤木稟 著のバチカンに所属する二人の奇跡調査官の活躍を描いた冒険小説で、奇跡という超自然現象を題材にしている事からホラーカテゴリに分類されている小説です。起こる現象は超自然現象のホラー的事象であるものの、平賀とロベルトによる科学的アプローチで科学的に説明可能な現象やトリックによって起こることが解明されることになる。

現在、16巻まで発売されています。
わたしは、以前に11巻まで大人買いしてコツコツと読み進め今は10巻まで読み終えました。(長編9巻・短編1巻)

  1. バチカン奇跡調査官 黒の学院(2010年12月)
    • アメリカの寄宿男子校と修道院で、聖痕を浮かべる生徒や涙を流すマリア像といった奇跡と、巻き起こる連続殺人について調査する。
  2. バチカン奇跡調査官 サタンの裁き(2011年1月)
    • アフリカのソフマ共和国で、1年半前に死んだ預言者の腐敗しない死体の奇跡と、ロベルトの死をも預言していた預言詩の謎を調査する。
  3. バチカン奇跡調査官 闇の黄金(2011年2月)
    • イタリアの小村で、教会に角笛が鳴り響き虹色の光に包まれる不可思議な奇跡と、村に伝わる『首切り道化師』の伝説について調査する。
  4. バチカン奇跡調査官 千年王国のしらべ(2011年7月)
    • ルノア共和国で、多くの重病人を奇跡の力で治癒したうえ、自らも死亡した3日後に蘇った司祭の奇跡について調査する。
  5. バチカン奇跡調査官 血と薔薇と十字架(2011年10月)
    • 英国の吸血鬼伝説がある田舎町で、実際に目の当たりにした吸血鬼こと『屍者の王』の謎について調査する。
  6. バチカン奇跡調査官 ラプラスの悪魔(2012年5月)
    • アメリカのゴーストハウスで行われる降霊会に、悪霊が憑いていたと噂される次期大統領候補の変死の真相を探るべく潜入する。
  7. バチカン奇跡調査官 終末の聖母(2013年10月)
    • メキシコで、出席した式典の最中に突然宙に浮いた十字架の奇跡と、町を断絶した光り輝く神の道について調査する。
  8. バチカン奇跡調査官 月を呑む氷狼(2014年9月)
    • ノルウェーの研究都市で発生した、北欧神話のラグナロクを彷彿とさせる出来事と、氷狼の仕業と噂される怪死事件の謎について調査する。
  9. バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達(2015年3月)
    • 日本・熊本天草で、真夏日に大雪が観測され、空に巨大な十字架が浮かび上がった奇跡について調査する。
  10. バチカン奇跡調査官 悪魔達の宴(2015年10月)
  11. バチカン奇跡調査官 ソロモンの末裔(2016年2月)
  12. バチカン奇跡調査官 楽園の十字架(2016年12月)
  13. バチカン奇跡調査官 二十七頭の象(2017年7月)

短編集 バチカン奇跡調査官 天使と悪魔のゲーム

ウィキペディアより

どこかの書評でキリスト教的アプローチがあまいとか不正確などと言ったことが指摘されていたように思うのですが、個人的にはそちら方面の知識にはもともと不案内なので全く気にはなりません。無知と言われればそれまでですが、あくまでもフィクションのこの小説からそのような知識を得ようとは考えていないので、ストーリー的におおきな矛盾なくエンターテイメントとして楽しめればそれでいいかなといった感じです。

多少無理くりなご都合主義的な設定や説明もあるのですが、ホラー的現象を科学的アプローチで解決するというなかなか興味深い題材で、多少大風呂敷を広げるくらいでないと物語的にも面白くならないので、そのあたりも含めて楽しめる私的には好きな小説です。

奇跡調査官とは

キリスト教カトリックの聖地バチカンには、世界各地から多くの奇跡とされる現象が報告されてくる。その奇跡現象の真偽を調査し奇跡認定をする機関が「聖徒の座」である。奇跡現象が報告された現地に赴き調査に当たるのが奇跡調査官である。

バチカンには、ドミニコ会、イエズス会、フランシスコ会、の三大派閥のほか多数の中小派閥が存在し苛烈な派閥争いが存在する。奇跡調査も申請した教会が所属する会派の調査官が担当することになっている。

主人公は二人の奇跡調査官

平賀・ヨゼフ・庚
日系アメリカ人の神父。天才的頭脳を持った科学者。科学的見地から奇跡とされる現象を分析する。敬虔なクリスチャン。生活能力は欠けている。彼が調査した奇跡は未だ一件も奇跡を認めていない。弟の良太は骨肉腫を患い余命2年と診断されており、バチカンに治療費の支援を願い出ている。

ロベルト・ニコラス
イタリア人神父。古文書や暗号の解読のプロ。信仰心はそれほど厚くないく世慣れしている。何かにつけ生活能力に欠ける平賀の世話役をしている。

ふたりともフランシスコ会に所属する奇跡調査官で、コンビを組んで奇跡調査に当たっている。

二人が調査する奇跡は・・・

世界中に協会のあるカトリックだけに舞台もアフリカ・アメリカ・イタリア・メキシコなどなど世界各地のいろんな都市に及びます。起こる奇跡や事件は、まさにXファイルばりの不可解なものばかり。処女受胎・腐らない死体・死者の蘇り・吸血鬼・降霊会・宙に浮く十字架などなど・・・

平賀はさらっと解明してみせるのですが、謎解きで明らかにされるトリックの中には、かなり大胆で大規模な物も少なくなく、そんなことほんとに可能なの???って感じです。

また、ロベルトによる暗号解読も叙事詩や古文書を天才的記憶力と発想により読み解かれるもので、読者自身が推理小説のように謎解きができる要素はほとんどありません。主人公の二人が謎を解いていく過程を楽しみ大胆なトリックにあっと驚くといった感じです。この物語は平賀とロベルトの奇跡調査をめぐる冒険譚なのです。

物語の展開は・・・

一話ごとに奇跡や事件の事象は、ロベルトの検証や平賀の再現実験により一応の解決をみるのですが、所々で姿をあらわす謎の組織イルミナティとジュリア司祭、姿を消した天才ハッカーのローレン、ある事件との関わりにより左遷され監視下に置かれるFBI捜査官のサスキンスなどなど、事件を追うごとに謎がますます増えていく感じ。

バチカン内部の派閥争いと陰謀や、世界的秘密結社の謀略、FBIなどが複雑に絡み深い謎が根底に流れていると感じさせる物語が展開します。遺跡や教会、古城などの調査では、ロベルトの天才的な暗号解読によってインディージョーンズばりの危機からの脱出やお宝発見など冒険アクション的要素もあったりします。

9巻目の長編「原罪無き使徒達」では、平賀とロベルトの物語はいよいよ日本上陸。
隠れキリシタンにまつわる奇跡を調査します。