ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 電子書籍

ライトノベルって言うジャンルの作品は、中高生が無双的に強い主人公が活躍して女の子からモテモテハーレム状態のウハウハを擬似的に楽しむような、ちょっとイタイ感じの少年少女向けの小説って言うイメージで捉えられているように思います。と言うかそんな感じに個人的には思っています。

実際、私的には書店で購入するのもはばかられますし、電車の中で単行本を堂々と読めませんからね。

では、なぜここでそんなライトノベル作品を紹介しているかといいますと・・・掛け値なしにおもしろい作品だからなのですよ。

ダンまちとの出会いはアニメから

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」との出会いは、2015年春に放送された深夜アニメです。原作の5巻までをアニメ化した作品で、これがなかなか面白かったわけです。

人気が出た作品がアニメ化されるので、ほとんどのアニメは中途半端なところでワンクール終了となり、続きがあるのかさえわからない状態で放送を終えてしまいます。たいがいの作品は別にそれでいいのですが、中には続きが気になって仕方のない作品があります。

ラノベが読めるようになったのは電子書籍のお陰

そういう作品は、原作を追いかけるしか手がないので、コミックならネットカフェで、ライトノベルなら電子書籍で探して読むことに。電子書籍のお陰でライトノベルも周りの目を気にせず堂々と楽しめるようになったものです。私的にはコミックとライトノベルは同列な娯楽と捉えています。娯楽的小説とは一線を画していてより気楽に楽しめるものですね。

ライトノベルもアニメ化を通して、原作を読むことが増えてきて現在数シリーズの作品を追いかけています。その中の一つがこの作品ということでです。

舞台は迷宮都市オラリオ

広大な地下迷宮「ダンジョン」を中心に栄える迷宮都市オラリオが舞台の物語。

設定は、人間だけでなくエルフや小人族や獣人族が存在する一般的なファンタジー世界で、日本で言うところの八百万の神々が天界に存在していて一部の神様が地上に降り立ち地上界を支配している世界。神様たちはファミリアという冒険者を集めたグループを組織して、ダンジョンの攻略を進めている。

ダンジョンは、階層に分かれており階層が深くなるに連れ、ダンジョンに存在する怪物たちの力が強くなっていく。冒険者たちは怪物を倒して得られるお宝を集め収入とし、より深い階層に潜りより強い怪物を倒すことによって力が蓄積されていく。その力は神様によってステータスとして体に刻まれることで現実化する。ステータスが高いほど冒険者としての格も高く、ステータスの高い冒険者を多く抱えるファミリアが実力あるファミリアと認知される。

主人公は神ヘスティアの眷属となった少年ベル

うだつの上がらないヘスティアと呼ばれる女神のもとでヘスティアファミリア一人目の冒険者となったベルが、仲間たちに支えられ、絆を結び、冒険者として世界を救う英雄となるべく成長して行く物語。ベルとヘスティアファミリアの成長がいきいきと描かれている。

個性豊かな登場人物がいきいきと描かれている

この物語の面白いところは、登場人物がものすごく多いにもかかわらずそれぞれに個性を与えて、うまく話の中に絡めているところ。

10以上のファミリアが登場し、それに冒険者をまとめるギルドや異端児と呼ばれるものたち。それぞれのグループに多ければ十人以上のメンバーが登場します。

神様対神様、ファミリア対ファミリア、冒険者対冒険者。事象をめぐる様々な思惑や政治的駆け引き、ライバルや絆など、ストーリーの構成や表現がうまい具合に紡ぎ合わせられている感じ。

手に汗握るバトルシーンは秀逸

それに、バトルシーンの表現力は秀逸で、手に汗握る迫力を感じさせてくれます。また、ベルをめぐる人間関係や深い仲間の絆がうまく表現されていて、ほろっとさせられる場面も少なくありません。

登場人物の女性比率は高く、美少女・獣耳・尻尾はお約束。ベルをめぐる女性たちの駆け引きもご愛嬌。ラノベ特有の萌要素も結構ありますが、箸休めと思えば許容できる程度でしょう。

11巻では「異端児(ゼノス)編」が完結

現在の最新刊は11巻で9巻から続く「異端児(ゼノス)編」が完結します。

「異端児(ゼノス)編」は、ダンジョン深層で怪物の姿ながら言葉を話し、意思の疎通ができる知性を備えた存在「ゼノス」と関わり合うことになるベル達ヘスティアファミリア。そのきっかけはダンジョンの中で一人迷う竜の少女を保護したこと。

ダンジョン深層で冒険者達と関りをさけ身を潜めて暮らす「ゼノス」ではあったが、一部の神にはその存在が知られ、それらを保護しようとする者と密猟する者が存在した。

密猟者によりウィーネを攫われ仲間を殺められた「ゼノス」達の怒りは爆発し18階層の冒険者たちの街を襲い破壊した。そして密猟者によって暴走させられたウィーネは竜の姿となりオラリオで姿を晒してしまう。ウィーネの暴走を止めるべく追ってきたベルは、ウィーネを倒そうとする冒険者達と対峙することになる。ベルとウィーネを助けるべく地上に姿を表した「ゼノス」達。「ゼノス」最強のミノタウロスも現れ、冒険者と「ゼノス」入り乱れての戦闘を繰り広げ、オラリオの街は戦場となってしまう。大混乱の中一瞬のスキを突き「ゼノス」達は、姿を消し戦闘は収束する。

ベルの取った行動により、ヘスティアファミリアは世間から白い目で見られるようになってしまう。そんな中、「ゼノス」保護をめざす神たちとヘスティアファミリアの仲間によりオラリオに依然潜伏する「ゼノス」の帰還作戦が始まる。「ゼノス」を追い詰めようとするファミリアと冒険者。隠密裏に帰還を支援するヘスティアファミリア、ヘスティアファミリアに協力する冒険者たち、ベルの英雄としての信頼回復を計ろうとする神、様々な思惑が入り乱れ、政治的な駆け引きが行われる中、ベルは因縁のライバルとなったミノタウロスと対決することになる。

異端児編は、正義とは・・・を問う重いテーマ

「異端児」という怪物ながら心通わせる事ができる存在とどう向き合うべきなのかという葛藤が描かれています。神として、ファミリアとして、冒険者個人として、狩るべき存在として敵対するだけなのか、都合よく利用するだけ存在なのか、共生する道があるのか、その存在を知るものたちはそれぞれにそれぞれの考えをもち行動します。その狭間に立たされたベルは純粋に心を通わせ共生の道を求めて行動し打ちのめされてしまいます。

みごとな決着!シリーズ最高傑作!?

正義とは、守るべきものとは、正義と正義の間に立たされたとき取るべき行動とその結果は・・・結構重いテーマです。9巻からはじまり10巻までは、この展開でベルくんどうなっちゃうの?とどんなふうに決着を着けるのかちょっと不安な感じで終わるのですが、11巻は、さすがと言うかなんというか想像の上を行くどんでん返しと言うか、お見事としかいえない決着を観ることができます。

キーとなる無双的強さのミノタウロスをどう使うのかな?などと想像しながら読んでいたのですが、今後につながる見事な使い方!「異端児」編はなかなかの名作じゃないですかね。アニメ化希望です。