「房子という女 – SRO episode0」富樫 倫太郎 電子書籍

ゴールデンウィークあたりから、ちょっと読書モードに入ってきていて、ここ1ヶ月で10冊ほど消化できました。でも久しぶりの半額クーポンで10冊以上購入したので、依然数十冊の未読本が積み上げってはいるのですが・・・・・

今回紹介するのは

「SRO―警視庁広域捜査専任特別調査室」シリーズの最新刊「房子という女 – SRO episode0」

「SRO」シリーズは第6巻まで発表されていて、「房子という女 – SRO episode0」は警視庁広域捜査専任特別調査室と敵対する犯罪者である近藤房子の半生を語った番外編的物語になっています。

6巻で山根室長ようする警視庁広域捜査専任特別調査室に捕まってしまったシリアルキラーの近藤房子が初めての犯罪である親殺しから夫であった近藤一郎とコンビを組んだ経緯までを山根室長に自分語りで聞かせると言うもの。内容的には犯罪者の独白であるが、6巻に渡って警視庁広域捜査専任特別調査室の総力を上げてボロボロに傷つきながら追い詰めたシリアルキラーの語りは、近藤房子と一郎の常軌を逸した狂気の一端を垣間見ることができ、一読者(SROファンの)としては大変興味深く読むことができました。

「SRO―警視庁広域捜査専任特別調査室」は、名称通り管轄を超えた捜査権を持った日本版FBIの様な組織で、山根室長が広域捜査の重要性を解いて総理大臣への直談判により幹部を説得し組織される。警視長1名警視4名と事務方2名のチームで立ち上げられ最高機密のスーパーコンピュータ「マザー」にアクセス権を持ち凶悪未解決事件を洗い出し捜査をするエリート集団。

実質は、警視庁内でお荷物扱いの部署で集められたメンバーもそれぞれに脛に傷を持つ組織のはぐれもので、SROに追いやられたような寄せ集めである。

美人で優秀な一番マトモそうな芝原礼子は、子供の頃問題児として精神科の治療を受けていたという過去があり、現在でも心の病を抱え整理整頓ができずゴミ屋敷化したマンションに暮らしている。

尾形洋輔は、優秀な警察官でありながら正義感から上司を殴るなどの暴力事件を起こした経歴がありる。不登校の息子を持ち家庭にも問題を抱えている。

針谷太一は、エリート警察官でありながら2度の犯人射殺事件を起こし自分のことを人殺しとの後悔の念に苛まれている。左遷された後SROに配属される。

川久保淳一は、SRO一番の若手警視。恋人へのストーカー行為で訴えられ左遷される。警察庁からSROのスパイを命じられている。

そんな一癖も二癖もあるキャリアたちをまとめる山根新九郎は、FBIアカデミーでプロファイリングを学び実際の捜査にも参加した実績を持つ行動分析のプロで、メンバーたちの素質を活用しSROをうまくまとめ上げている。そんな山根新九郎も自宅で大型のクモを飼育する昆虫オタクの変わり者である。

マザーによる分析と山根室長のプロファイリングによって、シリアルキラーによる巧妙な犯罪をあぶり出し解決していく物語は、さしずめ日本版クリミナル・マインドといった感じです。

最大の強敵である近藤房子を取り押さえ、SROの物語も一段落付いたところでこのままシリーズ終了で綺麗に終わっていいような感じもしますが、今後も新たなシリアルキラーたちと対峙する物語も読んでみたいと言う思いもあったりします。傷つき退場していった登場人物たちの今後も気になったりもしますからね。

とりあえずは計7巻、約7年にわたって楽しませてもらえた大好きなシリーズです。