「仮面病棟」「時限病棟」知念実希人 電子書籍

「天久鷹央の推理カルテ」シリーズを一気読みして、ほかの知念実希人作品も読んでみようと選んだのが「仮面病棟」と「時限病棟」でした。


「病棟シリーズ」という連作作品程度の予備知識で読み始めたのですが、「仮面病棟」⇒「時限病棟」の順に読まないといけない作品です。「時限病棟」で「仮面病棟」のネタバレがあるので「時限病棟」から読むのはおすすめできません。

いずれの作品も、登場人物たちが閉鎖された病棟からいかに脱出するかを描いた作品で、なぜ閉じ込められなければならなかったのか、次は誰が犠牲者となるのかなど謎解き心理サスペンスといった趣向になっています。

おもしろいのが、シリーズの舞台となるのが同じ病棟であるということ。

そして、その事件の誘引となる原因は同じで一連の事件となっているということ。こういうプロットの作品は、今まで読んだ記憶がありません。同じ舞台で、視点を変えて二つの脱出物語を描く。なかなかおもしろい設定です。

病棟を脱出不能の閉鎖空間にするということ自体がかなり無理のある設定なので、物語の構成も???なところがなきにしもあらずなのですが、犯人当てとか細かな設定とかはあまり気にせず、脱出エンターテイメントとして次の展開をハラハラ・ドキドキしながら楽しむべき作品ではないかと思います。

「時限病棟」では、まさに脱出ゲームの舞台となった病棟に閉じ込められることになるので、まさにリアル脱出ゲームのなかでダウトを引いた者が殺人鬼に一人また一人と犠牲になっていく。そんな感じの展開です。

ホラー映画で観たことのあるようなお話ではありますが、連作の脱出心理サスペンスとして独自性とエンターテイメント性の高い面白い作品です。


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