頭部がない死体、胴体がない死体、右手がない死体…。遺体の一部が持ち去られる猟奇殺人事件が6件連続して発生した。捜査が混乱を極める中、ある日本部に1通のメールが届く。僕は継ぎ合わされた死体から蘇った死人です。僕たちを殺した犯人を見つけてください―。鏑木警部補率いるクセ者揃いの特捜班が前代未聞の謎に挑む。度肝を抜く結末が待ち構える警察小説新次元!横溝正史ミステリ大賞受賞作、待望の文庫化。
amazon より
デビュー作で「横溝正史ミステリ大賞」受賞。
ヒジョーに興味をひかれるではないですか!
死体の一部が持ち去られるという連続猟奇殺人事件が発生して、その持ち去られた死体の一部をつなぎ合わせて作られたというデッドマンと名乗る人物から、犯人を捕まえてくれとのメールが届く。
ロボトミー手術・精神病院・フランケンシュタイン・・・いかにも昭和的ホラーなキーワード。
横溝正史ミステリ大賞にぴったりじゃないですかね。
ホラー小説ではないので、当然デッドマンと名乗る人物が死体の一部をつなぎ合わせて創られたフランケンシュタインのようなものでないことは明らかで、ポイントはどのような経緯でそう思い込む(思い込まされる)ことになったのかということになります。
デッドマンは何者なのか?
被害者たちとの関係は?
連続殺人犯の意図する所は?
連続猟奇殺人事件を追う刑事たちは、被害者の狙われた理由や動機など掴みかねる中、鏑木刑事だけが違った視点から事件を読み解いたことを評価され刑事部長から事件の指揮を任されることになる。
鏑木が指揮する警察は、デッドマンに犯人にどのように迫っていくのか。
昭和の時代の医療裁判とその事件を追っていた刑事の失踪。医療裁判の裏側に隠された真実。それらの事実が明らかになった時、壮大な復讐劇が白日のもとにさらされる。
警察小説の文言が説明にありますが、警察小説といえるほど警察組織や刑事どうしの駆け引きなどが描かれているわけではなく、刑事の鏑木班と犯人程度の認識で良いのではないでしょうか。警察小説を期待すると肩透かしになってしまうでしょう。
とは言えなかなかよく練られた内容で、「横溝正史ミステリ大賞」受賞も納得のおすすめできる作品です。