今年は「バイオハザード7」に始まり、「仁王」「ダイイングライト:ザ・フォロイング エンハンスト・エディション」「Horizon Zero Dawn」「うたわれるもの」「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」「ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて」 「NieR:Automata」「イースⅧ -Lacrimosa of DANA-」などかなりの高評価を付けられる名作たちに巡り会えた年でした。特に国産タイトルは近年では見られない豊作でしたね。
そして、最後を締めくくるのが12月1日に発売された「Xenoblade2」です。
すでにプレイ時間が230時間あまりでまだまだプレイ中。初回プレイでは上記の名作たちの中でも一番長くプレイすることになるかもしれません。決してダントツにおもしろいからというわけではないのですが、1週終えた後から奥深い作り込まれたプレイ感がわかりだして来て、その面白さにじわじわとハマってしまったのです。
「ゼノブレイド2」の世界
「ゼノブレイド2」の世界観は、かなり特殊です。
世界樹と呼ばれる世界の中心にそびえ立つ塔。その塔の下には雲海と呼ばれる雲の海が広がり、雲海に浮かぶ数体の超巨大生物・巨神獣(アルス)の上に都市(国)を築き人々は暮らしている。
アルストと呼ばれるこの世界では、数千年の時を経て巨神獣が寿命を迎え雲海に沈む時がすぐそこに迫りつつあった。巨神獣の死はそこで暮らす人々の死を意味する。少しでも寿命のある巨神獣へ移り住むべく巨神獣をめぐる国同士の戦争に発展しつつあった。また一方では、世界樹の上にはかつて人々が幸せに暮らしまた追放された「楽園」があり、そこにたどり着くことで未来が開けると信じられていた。
商業ギルドの「アヴァリテア」・大草原の「グーラ」・自然主義国家「インヴィディア」・軍事大国「スペルビア」・宗教国家「アーケイディア」・英雄の末裔「ルクスリア」などの巨神獣があり、それぞれに違った民族が暮らし凶暴な生物などが生息する地域もある。
世界の中心にある世界樹のまわりの雲海の中には、世界樹を守るべく凶暴な生物が潜んでおり冒険者たちは簡単に近づくことができない。世界樹の上には本当に「楽園」は存在するのか?「楽園」にたどり着くことで死にゆくアルストに暮らす人々を救うことができるのか?
「ゼノブレイド2」の物語
小型の巨神獣(じっちゃん)に育てられ、雲海から古代遺物を引き上げるサルベージャーを生業として生きる少年レックスは、沈没船の資源回収を請負いそこで「天の聖杯」と呼ばれるブレイドのホムラを見つける。長い眠りについていたホムラを目覚めさせたレックスであったが、秘密結社イーラのシンに殺されてしまう。
それを見たホムラはレックスに自分の命の半分を分け与えレックスのブレイドとなる。ホムラに命を救われ「天の聖杯」のドライバーとなったレックスはホムラの「楽園」に行きたいという願いを叶えるため「楽園」をめざす冒険を始める。
「天の聖杯」が目覚めたことが、アルスト中に知られることとなり、レックスとホムラは「天の聖杯」のちからを求める者たちに付け狙われることになる。また「天の聖杯」のドライバーとなりホムラとともに「楽園」をめざすまっすぐで真摯なレックスの姿勢に希望を見出し協調する仲間も増えていく。
元イーラのメンバーながらレックスに協力することになるニアとビャッコ・ドライバーに憧れるノポン族の少年トラと人工ブレードハナ・流れ者のジークとサイカ・帝国最強ドライバーメルフとカグツチなどの仲間たちと「楽園」を目指す冒険を繰り広げる。
レックスたちの冒険に立ちはだかるのは、世界に絶望しこの世界を無き物にするため「楽園」を目指す、もうひとりの「天の聖杯」メツが率いる秘密結社イーラ。ほかにも国同士の争いや駆け引きが絡み合い、そう簡単には「楽園」に世界樹にさえたどり着くことができないレックス達であった。
公式サイトより;レックス
魅力的なキャラクターたち
今回のゼノブレイドは、完全に今風のアニメ調のキャラクター造形になっています。イースとか軌跡シリーズに近い感じです。国産ならではの造形でJRPGを遊び慣れた方には歓迎されるキャラクターデザインといえるでしょう。海外モノのRPGしか遊んでいない方には最初は違和感があるかもしれません。
イーラのシンがはじめて登場した時、レックスやホムラとは明らかに違ったデザインで思わずファイナルファンタジーのイケメンキャラが思い浮かびました。調べてみるとスクエニがイーラのキャラデザを担当しているということで納得。はじめは若干違和感を感じていたりしたのですが、遊んでいるうちに馴染んできて全く気にはならなくなっていました。
レックスとホムラ(ヒカリ)の主人公は言うまでもなく、その周りを固めるサブキャラクター達がなかなか魅力的です。人工ブレイドの「ハナ」の「・・・も」と言ったノポン族の方言?をまねた話し方がなんとも可愛らしく魅力的なキャラクターに仕上がっていますし、ジークとサイカの変な関西弁の様な話し方と漫才のような掛け合いが嫌味なくいい味を出していたりします。
レアブレイド達それぞれにもちょっとした物語が語られていたりして、武器やフィールドスキルのためにリンクするだけでなくそういった物語を通して愛着を持ってリンクできたりして、一つ一つのキャラクターが丁寧に扱われていることを感じさせられます。
それに対して、モブブレイドはかなり雑な扱いです。ガチャ要素を取り入れているのでレアの何倍ものモブを準備しなくては行けないので致し方ないのでしょうが、これここまで必要なのか?と若干疑問に感じたりするのです。
公式サイトより;ジーク&サイカ
「ドライバー」と「ブレイド」
「ゼノブレイド2」の世界には、「ドライバー」と「ブレイド」の存在が重要な要素となっている。アルストには、「コアクリスタル」と言う不思議な結晶があり、ドライバーとなり得る属性を有する者が「コアクリスタル」に触れることで「ブレイド同調」が起こり亜種生命体「ブレイド」を生み出す。
「ドライバー」と「ブレイド」は運命共同体として強い絆で結ばれることになり「ドライバー」は「ブレイド」の持つ武器を共有し強力な能力を得ることになる。「ドライバー」の死とともに「ブレイド」は「コアクリスタル」に戻ってしまい、別の「ドライバー」と同調出来るようになるが、過去の記憶は失われてしまう。
ブレイドには人型と獣型があり、「攻撃」「防御」「回復」とその適正もそれぞれです。「火」「風」「水」「雪」「雷」などの属性がありこの属性のつながり方でブレイドコンボが発動します。また、フィールドスキルの発動にも必要な属性やフィールドスキルを持ったブレイドとのリンクが重要な要素となります。
公式サイトより
「ブレイド」スキルを高める「キズナリング」と「コア」
はっきり言って、初めのうちは何のことかよくわからないままでプレイしていたのです。詳しい説明もなく勝手に埋まっているみたいだしまあいいか的な感じで流していたのですが・・・実は「ゼノブレイド2」のキモは「キズナリング」であると言っても過言ではないのです。そのことに気がついてから「ゼノブレイド2」の深みにハマリだすのです。
「キズナリング」は意識してクリアしないと自然に埋まって行くものではありません。「キズナリング」で「ブレイド」のスキルを高めることにより、戦闘能力や使えるフィールドスキルが高まり冒険を楽しむ幅が大きく広がります。
「キズナリング」を意識しだすと、「ポーチアイテム」のことも分かるようになります。「ポーチアイテム」も意識しないと埋まることはまずありません。
はじめのうちは「野菜」「肉」「魚」「スウィーツ」「ドリンク」とか「本」「ゲーム」「絵画」などいろんなお店があってアイテムによって違う効果がありそれがどんな意味を持っているのかよくわからず、ほとんど買い物をしていなかったのです。
でも、それらのアイテムが「ブレード」それぞれにお好みがあって、ポーチに入れることでリンクしている「ブレード」が喜び、ピンポイントのアイテムや数を沢山入れることでスキルがアップすることがわかると俄然買い物をしまくってポーチにいれまくることになるのです。
「コア」も、ブレイドのアクセサリーとしての「アシストコア」と武器を強化する「コアチップ」があり、戦闘の状況や相手によって入れ替えることで戦いを有利に進められます。
特定の「ブレイド」しか持っていないレアなフィールドスキル(開錠やノポンの知識など)は、意識して早い目に開放しておくとサイドクエストや宝箱などスムーズにこなしていけるようになります。
特殊でわかりにくい「ゼノブレイド2」の戦闘システム
「オートアタック」「コンボ」「チェインアタック」「スイッチバトル」などの戦闘システムを駆使することによって、自分たちよりレベルの高い敵に対しても有利に戦闘を進めることができるのですが、「ゼノブレイド2」独特のシステムで「属性」とか「バーティーゲージ」とか「コンボ申請」とかよくわからないことが多く、とりあえずボタンが表示されたら押す!みたいな戦い方しかできませんでした。
ただ、それでは強い敵に勝つことはできず苦戦を強いられます。なので、〜なんか辛気臭い戦闘だな〜などと思いがちになるのですが、これはかなりもったいないことなのです。
これは、戦闘に関するチュートリアルが不十分で戦闘の正しい流れを理解しないままストーリを進めがちになってしまうシステムに問題があるように思います。はっきりいって、かなり複雑な戦闘システムなので一度のチュートリアルで理解するのは難しく、あとで確認したくてもどこで確認できるのかもわからない。戦闘中に試行錯誤して自分で戦い方を理解してくださいね。と言われているような感じなのです。
1週終わる頃になっても、敵のまわりでくるくる回っている赤や青のボールが「属性玉」と言うもので、これを「チェインアタック」で壊すことで大ダメージを与えられるということを知りませんでした。知らなくてもなんとか戦えていたのですが、「ブレイドコンボ」や「ドライバーコンボ」のつなげ方やトドメの「チェインアタック」が綺麗に決まった時の爽快感を体感するかしないかでは、戦闘の楽しさに雲泥の差があることは間違いありません。
これから始められる方には、公式サイトの動画や攻略サイトで複雑な戦闘システムをある程度理解しておかれれることをおすすめします。
かなり面倒な「ブレイド同調」
「コアクリスタル」を集めて「同調」することで新しい「ブレイド」を得ることができます。一回の同調で1個のコアクリスタルを使用するので、100個あれば100回同調を繰り返す必要があります。そのうち数体のレアブレイドが出現するのですが、同じことをひたすら繰り返さないといけない同調のシステムはなんとかしてほしいところです。1回につき数十秒の同じ映像を見せられるのははっきり言ってうんざりです。
初めのうちはそれでいいのですが、何らかのスキルを開放すると一度に10個ほど同時に同調できるようにするとか、せめて1週すれば一括で同調できるようにするとかなんとかしてほしいものです。
ユーザーインターフェースははっきり言って使いにくい
まず地図が見にくい。アップデートでだいぶ改善され少し見やすくなりました。でもかなり大雑把で高低差は表現されていないので、目標にたどり着くのが一苦労です。サイドクエストをオンにしてもどこに向かえばいいのかわかりにくい。フィールドを探索する上でも探索していない場所があるのかないのかが全くわからないので、ウロウロしていてたまたま見つけた場所が未踏の地だったなんてことがよくあります。ある程度探索が済んだら、未開放の場所が分かるようにしてもらいたいですね。
ブレイドの入れ替えやスキルアップをする画面の階層を選ぶのが面倒で戻るにもいちいちキャンセルしていく必要がありもう少し工夫が必要に感じます。チュートリアルしかり地図しかり色々と不親切な設計が気になるゲームは珍しく、それほどに使いにくいUIであるといえるのではないでしょうか。
ユーザーの声を聞いて、バージョンアップで少しでも改善されることに期待します。
公式サイトより:ホムラ
よく練られ作り込まれたシステムの「ゼノブレイド2」
「キズナリング」「戦闘システム」「同調」「ポーチアイテム」など一つ一つが深く作り込まれており、それらがうまくリンクするように考え練り上げられたシステムが、「ゼノブレイド2」の面白く奥深いプレイ感を支えていると言えるでしょう。
一つ一つが奥深いので、感覚的に理解できずさらにチュートリアルでの説明不足のため、かなり敷居の高い状態になってしまっているように思いますが、「キズナリング」の考え方がわかるようになってくると次第に理解が進み奥深い楽しみに目覚めだすのです。
その奥深さがわかってくると、「オートアタック」の戦闘システムも「コンボ」や「チェインアタック」や「属性玉」についてもそういうことだったのかと納得できるようになり、「ブレイド」の組み合わせによる技のつながりや戦闘の爽快感が味わえるようになり楽しさが倍増していきます。
なので、はじめて2/3がすぎる頃までは、まあまあオモシロイけどなんか戦闘は辛気臭いし、フィールドスキルとかうまく使えなくて宝箱が開けられないとか、なんかしっくりしない感じを受けながら遊んでいたものです。それがキズナリングのことやポーチアイテムのことがちょっとずつわかりだして、エンディングを迎えそこそこレベルが上っていると、敵に襲われにくくなり自由にフィールドを探索出来るようになります。そのあたりからキズナリングを埋める楽しみに芽生え、ポーチアイテムや戦闘の爽快感を体験しだすとレアブレイドを組み替えたりする楽しさにも目覚め始めます。そうなってくるとどんどん同調してレアブレイドを手に入れようとしだし、手に入れたレアブレイドのキズナリングも埋めだすようになって行きます。
そして、成長したブレイドたちを使って、いかに爽快に敵を倒すかを試したくなり、ハイレベルなレアモンスターに挑むことになるのです。
このように、駆け足で走り抜けた1周目と違いじっくりクエストをこなしたりフィールドを探索したりすると新たな場所や隠された経路を発見したり、高レベルの敵に挑戦したりと「ゼノブレイド2」の深い作り込みを目の当たりにしてさらなるスパイラルにハマリだす始末です。
こう考えると、あながち敷居の高い説明不足の不親切なシステムも悪くないのではないかと思ったりするのです・・・が、やっぱりもう少し丁寧な説明があればもっと早くから楽しめたような気もします。
公式サイトより:ヒカリ
「ゼノブレイド2」に思うこと
これほど、スタート時(半ばくらいまで)と今現在の評価の差が大きいゲームは珍しいです。それほどにいろんなことが理解しにくい仕様になっていて、理解することによる楽しみ方が奥深くよく練られ作り込まれたゲームであると感じさせれらます。もう少しスムーズに自然にそのあたりを理解できるように誘導していく流れができれば最強と言われるゲームになるのではないでしょうか。
ゼノブレイドのベースとなる世界観は、たまたまか流行りなのかはわかりませんが、「Horizon Zero Dawn」「うたわれるもの」「NieR:Automata」「イースⅧ -Lacrimosa of DANA-」など私が今年遊んだゲームの多くに共通する世界観になっていたります。もしかしたら「ゼルダの伝説」もその範疇なのかもしれませんね。
これは、昔から幾度となく使い続けられている世界観なので、やはり王道を行く人気のあるストーリーはある程度パターンにはまった物語にならざるをえないものなのかと改めて考えさせられました。
アマゾンのレビューなどをチェックしていると、下品な表現だとか胸が強調され過ぎとかの批判的な内容が見受けられます。ゼノブレイドというタイトルのイメージがありそう感じる方も少なからずおられるのでしょう。でも、私的にはもっと下品でももっとエッチでもぜんぜんオーケー。ニーアの2Bくらいやってほしいものです。
なんてね。