宝島

auブックパスのブックコインが当たって、1千円ほどで購入できたので、内容は全く知らないまま、第160回直木賞受賞作ということで購入した作品です。

「宝島」というタイトルから、なにかお宝を探す冒険譚かな?なんて思いながら読み始めたのですが・・・

宝島



あらすじ

◆祝!3冠達成★第9回山田風太郎賞&160回直木賞受賞!&第5回沖縄書店大賞受賞!◆希望を祈るな。立ち上がり、掴み取れ。愛は囁くな。大声で叫び、歌い上げろ。信じよう。仲間との絆を、美しい海を、熱を、人間の力を。【あらすじ】英雄を失った島に新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染みーーグスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり、同じ夢に向かった。

amazonより

終戦直後1952年から沖縄返還の1972年あたりまでの激動の沖縄を生き抜いた少年少女たちの青春冒険譚といった内容で、主人公はグスク、レイ、ヤマコの幼馴染の3人。

レイの兄、グスクの親友、ヤマコの恋人、である三人の心の支えであったオンちゃんは、戦果アギヤーとして伝説となるほどに活躍している沖縄のヒーローであった。いつも慎重な作戦を立て生きて帰ることを一番に考えていたオンちゃんが珍しく嘉手納基地襲撃という無謀な作戦を決行する。

作戦に参加した戦果アギヤー達は、チリヂリに逃げ惑う結果となり作戦は失敗、オンちゃんは行方不明となる。オンちゃんの生存を疑わない三人は、グスクは警官として、レイはヤクザ&テロリストとして、ヤマコは教師&反基地活動家としてオンちゃんの足取りを追うのであった。

嘉手納基地襲撃失敗の背景には、密輸組織の関与がありオンちゃんの失踪に少なからず関係していることがわかってくるが、その足取りを掴むことは容易ではなかった。

米兵による沖縄民への理不尽な暴行や戦闘機の墜落事故、暴動、ヤクザの抗争など実際に起った事件や事故にからめて、それらの事象に翻弄されながら生き抜いていく3人の姿がいきいきと描かれます。

感想

はっきり言って、読み始めた時は失敗したかな・・・と感じていました。沖縄の方言が多用された文章は私にはなじまず読みにくく、何が合わないのかはわからないものの読み進めるのが苦痛に感じる第一章でした。

なんとか最後まで読み切ったのですが、内容が沖縄の戦後を赤裸々に描いた内容でなければ挫折していたかもしれません。私にはどうも合わない作風のようです。

戦果アギヤーとか初めて知ることで、終戦直後からの沖縄の人々の苦しみや葛藤を主人公3人を通して描かれていて、これが事実なら(あくまでもフィクションですが)私の全く知らない今まで触れたことのない戦後の沖縄の現実(おそらく事実なのでしょう)に触れられたことはあらたな発見でありました。この作品を読んだことで、今の沖縄が抱える問題の一端にふれることができたような気がします。

上記の点は評価に値するのですが、私の好物であるエンタメ小説としてはどうもいただけません。ストーリーの進行が平坦というかワクワクハラハラを感じることができません。結果的に読んで楽しかったが残らない作品でした。